アメリカの都市伝説の事実が判明!アタリショックの原因はスミソニアン博物館へ所蔵

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E.T. The Extra-Terrestrial』所蔵されたものはアタリ2600というゲーム機用のカートリッジです。なぜそんなものが博物館に所蔵されるのでしょうか?

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実はこのゲーム、伝説のクソゲーとしてアメリカでは有名です。そのゲームがある埋立地から発掘され、そして博物館へと所蔵されることになりました。

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短すぎた開発期間

E.T. The Extra-Terrestrialは同名の映画をもとにハワード・スコット・ウォーショウが制作、アタリによって1982年にリリースされました。

1982年6月、映画を元にしたテレビゲームの制作権の交渉がスティーヴン・スピルバーグ、ユニバーサル・ピクチャーズとの間で行われました。2000〜2500万USドルを支払いアタリが権利を獲得したと言われています。スピルバーグのリクエストにより、ゲームデザインとプログラミングの仕事は、映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』のテレビゲーム化を行った経験のあるハワード・スコット・ウォーショウに任せられました。ゲームデザインとプログラミングのための時間は、クリスマス出荷に間に合わせるための最低ライン、9月1日まで6週間も残されていませんでした。ウォーショウは2日でコンセプトをまとめると残りの5週間でプログラミングとデバッグを済ませました。他の作品では4〜7ヶ月かかっている事を考えると非常に短期間だったことが解ります。

アタリの失敗

当時のアタリはソフト・ハードともに市場を完全に席捲しており、映画と自社のブランド力と小売店には1年分を先立って注文するように要請していたこともあって、ゲームの売れ行きが好調になるだろうと踏んでいました。

ゲームの売れ行きは確かに好調でしたが、500万本のカートリッジの内実際に売れたのは150万本程度でした。なぜか、それまで売れていたアタリ2600の本体の台数より多く生産されていました。

セールスの数字はそこそこだったものの、高額のライセンス料・大量の売れ残り在庫により、『E.T.』はアタリに大きな経済的損失を与えました。

そして伝説へ

1983年9月、アラモゴード・デイリー・ニュースは一連の記事中で、エル・パソにあるアタリ社の倉庫からセミトレーラー10から20台分の本体およびカートリッジを運び出し、市の処分場に廃棄したと伝えた。アタリ社が市の処分場を利用するのは初めてのことで、ここなら掘り起こされることもないと考え、夜間に廃棄が行われた。アタリ本体の廃棄理由について、Atari 2600からAtari 5200への切り替えのためという説と、本体は廃棄されていないという説がある。アタリ社の役員は返品された「ほとんど修理不能」とアタリ社が判断した不良品をアラモゴードに送ったと述べている。

ビデオゲームの墓場 | Wikipedia ーより引用

さまざまな情報が憶測を呼び、売れ残りの『E.T.』が350万本近く埋められコンクリート詰めになっているというような話になっていきました。

発掘

Xbox Entertainment Studiosはこの処分場を発掘するドキュメンタリー映像『Atari: Game Over』を製作しました。発掘は2014年4月26日に開始され、『E.T.』が発掘されたことにより、都市伝説は真実となりました。実際に埋設したのは728,000本だそうですが、1300本だけ発掘され、穴は埋め戻されました。

本当にクソゲーなのか?

ゲーム画面を収めた動画を発見したので、確認してみました。当時の日本のテレビゲーム状況からすると、一見良作にすら見える出来栄えです。批評家の間では主に下の2つのことがクソゲーである理由としてあげられています。

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タイトル画面

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オープニング。UFOらしきものによってE.T.が連れてこられるアニメーション

ゲームのグラフィックは当時の他のゲームと比較しても平均以下

日本のテレビゲーム状況ではエポック社のカセットビジョンが全盛だった時期です。カセットビジョンはアメリカで4年も前に売りだされていたアタリ2600よりも性能が劣っていたので、これを比較してしまうと『E.T.』は悪くないということになってしまいます。アメリカの当時の状況を知っている人にしか比較しか出来ないということになります。

あえてカセットビジョンの頃のものとくらべるとすれば、色数も多くキャラクターの重ね合わせ処理もあり動きもなめらかで申し分ありません。ですが、数年後に発売されるファミコンのゲームとくらべれば見劣りしますね。

E.T.は穴に落ちた後、空中浮遊でのろのろと脱出しなければならない

これは、まさにその通り。何度も何度も穴に落とされ、ユーザーはためいきをつくほどです。上記のような無理な開発期間で充分なバランス調整は行えないでしょうが、これはちょっと…。きっと穴に落とされないコツがあって作者はそれを駆使した上でデバッグ・調整をしたんでしょうね。

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問題の穴。首をのばして穴から出るようだ

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ステージは複数あってなかなか楽しめる

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人に捕まると拉致されたり穴に落とされたりするみたい

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穴に落とされるところ。ユーザーは理解できずWhy?Why?

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とにかく穴に落とされまくる

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ハァ…。もうため息しかでない。

出典
ビデオゲームの墓場 | Wikipedia
YouTube